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営業担当に送る差異分析法

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いつもご訪問ありがとうございます。
営業部署では、新年度になると売上高や販売数の予算が立てられ、それに基づいて進捗を管理していると思います。そして、月末や年度末になると進捗状況を報告する立場の方もおられるでしょう。そんなあなたに進捗管理における差異分析の方法をお伝えしたいと思います。

 

 

目次

作成2018年4月27日 更新2022年1月26日

 

1.問題とは

月末や年度末に予算の達成度を報告する場合、まず求められるのは予算を達成したか、しなかったかの報告です。


予算<実績 なら、予算達成
予算>実績 なら 予算未達成


こうした場では、未達成の場合、その原因の報告も求められるものです。
そうした原因の分析を行う上で、予算と実績の差異分析が有効です。

差異分析をすることで問題を明らかにでき、課題や解決策の立案につながります。


差異分析をするにあたって、まず問題について考えてみましょう。


問題とは、「あるべき姿」と「現状」のギャップ(差)


のことを言います。

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もちろん、これ以外の定義を説明しているものもありますが、ここでは、この考え方に沿って話をすすめていきます。

この詳細を知りたいかたは、以下を参照してください。

 

my-manekineko.hatenablog.com

 
問題の記述例

問題の事例を見てみましょう。


営業チームで、ある地区を担当する佐藤さんの例を想定してみます。


佐藤さんのチームの今年度の売上予算10億円(あるべき姿)に対して、
現時点の売り上げ見込みは8.1億円(現状)である。
このままでは1.9億円の未達(ギャップ)になる。

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この問題表現の文章は長いですね。
日頃の議論の中で示されてものと違うと感じられたのではないでしょうか?
普段は、こんな感じでしょうか?


簡易表現の例 


売上が1.9億円未達 

 
前提となるあるべき姿や現状、果てはギャップまでを省略してプレゼンテーションの資料に載せている事例を多く見かけます。
この表現でも通じますがそこには自ずと決め事があります。
それを「寛容の原則」から確認しておきましょう。


「寛容の原則」とは
表現が省略されているのは、伝える情報量に制限があって限られるからです。
言語学では、これを「寛容の原則」と言います。

限られた文字や言葉で伝えなければならない世界にあっては、何らかの省略が必要になりますので重要な原則といえます。


しかし、省略する前提は伝える相手がその内容を共有できている場合に限られます。

問題解決は論理的に取組むことで効果的・効率的に進められます。
問題解決の各ステップでは、問題の内容を確認できるようにしておきましょう。
方法としては、資料の終わりに参考資料として詳細をつけておくやり方があります。

 

 

2.原因分析の為の問題設定

さて、

「売上が1.9億円未達でした」

こんな報告だけを会議でしたら「おまえばかか」と言われそうです。

さすがに今の世はコンプライアンス重視なのでパワハラ発言は慎まれるでしょう。
もう少し、柔らかい発言になっているはずですが…


が、それにしても「かっこよくない」


では、「かっこよく」するにはどうしたらよいでしょうか?


佐藤さんの問題を、改めて具体的なデータから見てみましょう。
詳細な予算と実績のデータは下のようになります。

 

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いままで、取り上げていたのは、右端の売上のランだけでした。

売上は、総販売数と平均販売価格の掛け算(積)で求められます。

ここから、その予実績の差を見ていきます。


総販売数の年初予算は50万個だったのに、実際に販売できたのは40万個で10万個不足しています。
売上の未達は販売数のギャップからとわかります。
販売価格は、2,000円の対して2,025円と予算よりわずかに高かったことも認識できました。

差異分析をする

さらに、年初予算と販売実績を販売先の詳細データから見ていきます。

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数字ばかりですみません。スマホだと見にくいかもしれません。


図を説明します。
A社への販売数は予算では30万個だったのに、実績は20万個と計画通りにいかず10万個不足していました。
それによる販売差異が2億円発生していて、これが本質的な問題(ギャップ)あることが分かりました。
(計算内容は以下を参照してください)

しかも、少額ですが価格の上でも未達(-10百万円)が出ていることもわかります。
その合計の売上差異が600-390=210(百万円)となっています。

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これらから何がわかるでしょう。

実は、佐藤さんはA社からの価格引き下げ要求に期中で応え、価格を下げて予算販売数を達成しようとしましたが、手遅れで販売数の未達になったのでした。

こうしたことは、原因分析をしていると明らかになる情報です。

以上のことから佐藤さんの問題を再度まとめると、次のようになります。

A社へ販売予算30万個を
計画したが(あるべき姿)、

 価格ダウンへの対応が遅れ
販売実績は20万個と(現状)、

-10万個の未達となった(ギャップ)

未達の要因は価格対応の仕方に問題がありそうだと分かりました。

こうした販売に関する差異分析(経営計数)を用いると具体的な問題や原因の糸口が捉えやすくなります。


ここに示したケースは、わかりやすいように対象を2社に絞りました。


実際のケースは販売先や商品も多くてもっと複雑ですね。しかし、現代はECELのような数字を扱うツールが進歩しています。
複雑なデータでも簡単に加工でき、差異分析のギャップの抽出も簡単にできます。
ぜひ、実践してみてください。

 

 

3.もう少し深く検討する

A社へ販売予算30万個を
計画したが(あるべき姿)、
 価格ダウンへの対応が遅れ
販売実績は20万個と(現状)、
-10万個の未達となった(ギャップ)


と問題を定義しました。


では、この問題を出発点にして問題解決を始めていいでしょうか?


YesともNoともいえないのが、問題設定の難しい所です。


たとえば、A社に対して現状の1950円をさらに下げて価格対応をしたら、残り2か月で売上1.9億円のギャップ解消を図れるでしょうか?
現実問題では、なかなか難しいと思いませんか?
価格対応が、この後の解決策とはいえそうにありません。

この事例について、見えていることと、いま時点で見えていないことを整理すると下の図表のようにまとめることができます。

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上の点線で囲まれたところが、見えていることで4つの灰色の問題点や3つ白い枠の観察した事実が認識できます。

一方、下の点線で囲まれた部分が、いま時点では見えていないことになります。
いま時点では事実確認が出来ていない事なので仮説となります。

黄色が確認する上での問いであり、
水色は、それらの問いから思考していく論点となります。


以上がこの問題の考察の詳細となります。
あなたが、どのレベルから問題を扱うかはあなたの経験値によって変わります。


実力の高い経験者は、上の問題レベルで何が問題か把握することができます。(直観的認識力)このような、あるべき姿と現状から問題の深堀をすばやく捉える力量を身につけた人がベテランと呼ばれたりします。


仕事の場面では、ベテランと初心者では解決のスピードや完成度がまったく違う場面をよく目にします。経験の差が、直観で解決できる割合を左右するからです。

そのあたりは、以下の記事を参考にしてください。

 

my-manekineko.hatenablog.com

 
あなたはもうベテランと呼ばれる領域に入っていますか?
あるいは、これから経験値を高めてベテランと呼ばれるようになりますか?

問題をすばやく発見し、PDCAサイクルを上手に回せる営業パーソンになりましょう。

なお、PDCAについては、こちらも参考になります。

 

my-manekineko.hatenablog.com

 

 

4.まとめ

・予算未達時は、差異分析をする

・問題とは、
「あるべき姿」と「現状」のギャップ

・問題を簡易表現できるが資料はつける

・差異分析で、より深い問題も見える

・原因分析は、仮説も作る

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

こんな記事も読んでいただけるとうれしいです。

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終わり